読書の秋です。
木村未来さん著書『唳禽抄(れいきんしょう)』が刊行されました。
木村未来さんとはもう既に八年のお付き合いになります。当時、木村さんが新聞記者をされていた頃、松伯美術館花鳥画展にて私の受賞の際に取材をしていただきました。とにかくせっかく来てくださるのだからと口下手なりに気合いを入れて臨んだものの、今までこんなに話し易かったことはないという程、珍しくすらすらとお話し出来た事を驚きをもって覚えております。お人柄のなせるわざでしょうか。
著書『唳禽抄』では27年に及ぶ取材をされ、上村淳之先生の画業、祖母松園の事、父松篁の事、奈良、京都の事、花や鳥についてのお話しなどがまとめられています。
ギャラリートークや講演会ではとても熱心に取材されている様子を度々拝見しており、新聞での連載も楽しみにしておりましたが、この度ついに一冊の本となり拝読出来るのを本当に嬉しく思います。講演会のあの話やこの話をすぐに読む事ができる贅沢な一冊です。また木村さんだからこそお話しされたのであろう内容などは上村先生のこれからのご活躍を楽しみに、背筋が伸びる思いで拝読させていただきました。
上村松園の『青眉抄』、上村松篁の『鳥語抄』に続く『唳禽抄』。
是非お手に取ってご覧下さい。
さて今秋、松伯美術館では開館25周年記念の特別展が開催されます。
松伯美術館は上村松園、松篁、淳之三代の本画、下図、写生等を保管、収集し各作家の画業を紹介する事を目的として近畿日本鉄道株式会社の御協力のもと設立されました。
開館25周年の特別展では上村松園の「雪月花」、「序の舞」、上村松篁の「丹頂」に「立葵」などを始めとする代表作を一堂に見ることのできる、まさに夢のような展覧会が開催されます。宮内庁三の丸尚蔵館、東京国立近代美術館、東京藝術大学、京都市立芸術大学芸術資料館等の作品の展示ですが、何より、松伯美術館では、より至近距離でご覧頂くことができるのが魅力です。
重要文化財の「序の舞」は修復作業がなされて軸装から装いを新たに、額装となりました。関西では修復後、額装での初の御披露目となります。
また20年の歳月をかけた松園の傑作「雪月花」も今回の特別展にてご覧いただくことが出来ます。開館25周年の特別記念展だからこその日本画の数々を、どうぞご堪能下さい。
明日から1ヶ月ばかりの展覧会ですが、正倉院展のオープニングと同日の日程ですので、奈良にお越しの際は展覧会巡りに如何でしょうか。
特別展 開館25周年記念 上村松園・上村松篁「日本画の心」展〜真善美を求めて〜
令和元年10月26日(土)〜11月24日(日)会期中無休
開館時間 10時〜17時(入館は16時まで)
大人 1200円
小学生・中学生 600円
室内ですので影響はさほど有りませんがより良く色合いなどを御覧いただく際は、曇りの日などが鑑賞にはお勧めです。